私の作ったExcelツールが役目を終えたらしい。

ちょくちょくTipsで小出しにしていますが、私はたぶん、Excel職人ってやつだったと思います。だったというか、まあ今もなのかなあ。

で、夏に辞めた前職でゴリゴリにVBA組んで現場で使ってもらっていたツールが、代替のシステムを入れることで役目を終えたそうです。

作った当時から「ほんと間に合わせだし医療改定に対応できる気がしないから1年以内にシステム入れる」と焦っていたやつで、本当はそれを入れてから退職したかったのですが、いろいろあって志半ばで離脱したのでした。システム導入は、ツールが稼働してからちょうど1年の昨日だったそうで。

それなりに感慨深い出来事ではあるので、ちょっと思ったことを残しておこうかなと思います。


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1.Excelによるガラパゴスツールの弊害

Excelの万能さというのはけっこう諸刃の剣です。

直雇用なり常駐委託なりでSE採用をしていない場合、たまに紛れ込むちょっとITが好きな人材がExcelでなんだか便利なものを作っちゃって、「なにそれいいじゃん」とみんな使っちゃったりする。古くて小さい企業や組織ではよくあることです。

組織内にIT人材を置かず、パッケージ製品がメインのシステムを構築している場合、どうしたってかゆいところに手が届かない隙間処理が発生しがちです。けれど自製をしないということはシステム部門の端末であっても何らかのIDEなんて入ってなくて、その結果Officeスイートでの業務オートメーション化に目が行くわけです。だって高確率でインストールされているし。パッケージ側も「加工しやすい」をウリに簡単にCSV吐いてくれちゃったりしますし。

でもじゃあって作った人が退職したりすると、ひとたび不具合や改善要求が起こればどうしようもなくなります。たいていが独学で体系立ったコードではないし、出入りのSEさんに頼んでも嫌な顔をされるのが常。私も誰が作ったんだかよくわからない10年以上前のExcelツールのトラブルシュートをしたことがありますが、自分と全然書き方が違うから「ごめん1から作っていい!?」となりました笑

2.ただ楽しくて始めたツール作り

とまあ否定的な表現から入りましたが、何も私はExcelでゴリゴリやるのが嫌いなわけじゃありません。嫌いならやらないし。現職でもやってます。主に自分用にしか作らなくはなりましたが。

VBAを覚えたのは就職してからでした。父がSEだった関係で言語(VB)に触れたことはあったし、PHPもwordpressのテンプレートなら1から作ったことはありましたが、本当に1からツールなりシステムなりを作ったことはありませんでした。

しかし就職してみると、組織の仕事ってやつは繰り返し作業が驚くほど多いんですね。その繰り返し作業にはたいていデータ処理が絡んでいて、Officeスイートにはその気になればいくらでもオートメーションさせてくれる開発環境がある。当時の上司が好きにやらせてくれるタイプだったので、独学でVBAを組み始めたわけです。

どうにも私は知識を習得するときに参考書で学ぶやり方が合わないらしく、目的があって初めて身につくタイプのようでした。

「こうしたい」があって、「どうやったらできるか」を考えて、論理が正しければ思った通りに動いてくれる。ハマりました。

で、始めのうちは自分や部署内で使うものだけを作っていたわけですが、そのうち「あの子はなんか便利なものを作れるらしい」とかなってくるわけで。

ドメスティックなものを作っているうちはどちらかといえばAccessの方が多かったんです。でもAccessはシステム部門にしかないから、現場で使う想定ならExcel一択。ExcelとはいえUIもそれなりに考えるようになりました。

現場のためのツールを作り始めると、ただ自分が「楽しい&楽したい」だけだったことに、感謝が加わりました。

単純に嬉しかったです。自分はただのヲタクだと思っていたから、好きなことやってるだけで人から感謝されるなんて思ってもみなかったのです。

そんなこんなで、システム部門にいた2年弱の間に大小さまざまなツールを作りました。退職時に寄せ集めたら20個近くあったかと。そのうちの一番大きかったものが、冒頭の役目を終えたツールでした。


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3.フリーランスのSEさんに言われた、相反する概念

話は変わりますが、前職には1人だけ、週に1回いらっしゃるフリーのSEさんがいました。

壮年で、20代の頃に独立していたり、パチプロの時代があったり、自由に生きてきた人だったので、面白い話をたくさん聞かせていただきました。まあめっちゃ変わった人でしたけど。

ガジェットが好きなだけの小娘がExcelでの開発にのめり込んでいく姿を見て思うところがあったのか、彼にかけてもらった2つの言葉がとても印象に残っています。

  • 自分にしかできないことを身につけると食いっぱぐれはなくなる
  • 他の人間にメンテができないものを作ると苦しむのは自分である

前者は私が開発を始めた頃、後者は俗にいう仕事の属人化が顕著になってきた頃に言われたことです。

これらは同じ「ガラパゴスツールを作る」という行動に対しての見解ですよね。見方を変えただけで。

彼は自分にしかできないスキルを活かして身一つで生計を立てていた一方で、他の人間にできない仕事を持っているため、そろそろリタイアを考え始めてもなかなか切りきれない部分があったようです。だからどちらも経験からくる言葉で、ずっとその相反する概念の間で葛藤してきたのだと思います。

当時の私は「応援してるの?止めてるの?どっちなの!」とか思ってましたけど笑 今思えば、どうなりたい?って聞かれてたのでしょうね。

基本的に世の開発の流れは標準化が主流ですが、中にはあえて可読性をなくすために一切改行もコメントも入れずコーディングするプログラマーもいらっしゃると聞きます。

それってどっちが正しいとかではないし、自分がどうありたいか、それだけの問題です。

4.組織にとってありがたい人間ってなんだろう

上記のSEさんの言葉を根底に持ったまま、退職を考え始めたとき、自分は組織にとってどういう存在なんだろうとよく考えました。

現場からは好意的に接してもらうことが多かったです。自分たちの業務を楽にしてくれる、という実績があったので。

経営に関わる人達からも評価はいただいていました。年功序列な組織で若手だったので、有り体に言って、コスパがすごくよかったんですね。

否定的だったのは人事関係の人たちでした。面と向かって「他の人間にできないことをされると困る」とも言われました。

ごたごたの最中にいるときは反発心が強かったし、それが退職を決意した直接的な原因にもなりました。復讐心ですらあったと思います。「せいぜい融通の効かないシステムに高い金払って、私の給料の倍以上する委託でもするがいいさ!」なんて。

でも離れてみて本当に阿鼻叫喚になっているらしい前の職場の話を聞いて、たしかに考えものかもな、と今は思います。たとえば、私が組織を動かす側の人間なら、私は雇いたくないです笑 組織というものを考えたとき、属人化はリスク以外のなにものでもありません。

5.自分にとってあの環境はどうだっただろう

じゃあ自分自身が前職で得たものってなんだったろうかと。大きく分けてふたつあります。

ひとつめは、プログラミングの楽しさを知ったこと。

自分の論理さえ正しければ、機械は素直に言うことを聞いてくれます。大学院では生物系の研究をしていたのですが、もともと仮説→実験→立証というプロセスが好きなんですね。機嫌次第で反応の変わる人間と比べたら、扱いやすくて付き合いやすいことこの上ないです笑 プログラミングだけでなく、インフラ周りもそうですね。ネットワークトラブルの解決とか超楽しい。平たく言えばITバンザイ!人間に拍車がかかりましたw

ふたつめは、あるコミュニティの中の、ある特定の分野で自分が一番である経験をしたこと。

単純にスキルアップだけを考えれば、20代半ば~後半の数年をもっと有意義に過ごせる場所はいくらでもあったでしょうが、この経験はしておいてよかったと思います。そして、自意識が無駄に高くなりすぎないうちに抜け出せてよかったとも。世界に出たら今現在の私はスキルなんて無いに等しいですからね。けれど、何かを極めれば信頼や名声を得られることができる。その確信が持てたことは大きいです。

6.組織の中で自分をデザインしようと思わなくなった今

SEさんの言葉、組織の中でどうあるべきか、そういうものを退職後しばらくはずっとリフレインしていました。

が、ちょっと待てよ、と。

前職の退職と同時に、縁あって現職に就きました。で、非正規なこともあって、普通に毎日定時で帰るようになったんですね。

そうなると、プライベートの時間が増えます。こんな風にブログを書いたり、アプリ開発の勉強を始めたり、そういうことができるようになった。それで、身一つで生活できるようになるチャンスもこの時代けっこう転がってるんじゃないかと気づくようにもなった。

組織にとってどうありたいかって、考える必要ある?と、そう思うようになったんですね。というか、もともとそうだったんです。新卒の就活で自己分析やりすぎて、「あ、私組織向いてないわ」ってなったから半年ニートしていたことを思い出しました。

結局金に困って就職して、そしたら良くも悪くもコミットしまくって、組織にとって自分は…とか考えるようになっていたんですね。環境って怖いなあとは思いますが、まああのままニートしていてもたぶん一生ただのニートだったので、一旦組織の中で考えたことは悪くないことだったと思っています。

だからやっぱり、自分はどうありたいか、なにがしたいか、を考える人生にいたいなと。プログラミングが楽しければやればいいじゃない。単にコードを書く勉強をするだけではモチベーションが上がらなかったものが、目的があればスイスイ進む。で、自分は何をやりたいかな?やりたいこと溢れてくる!今、そんな感じです。

前職に残した遺恨だったツールが、ちゃんとサポートのあるシステムに替わったと聞いて、肩の荷を下ろすように、今の考え方に自信を持とうと思いました。そんな自分語りです。

この投稿のカテゴリーは 思うこと 、投稿者は おさみ です。ブックマーク用 パーマリンク

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